チームワークについて

・チームワークとは何か        
 チームワークという言葉には二つの意味があると思う。一つは「友情」や「思いやり」、「はげまし」などの言葉に示されるような気持ち的な心の面。もう一つは「役割」や「ポジション」「自分の仕事」という言葉で表現される機能的な面。
 チームの力がまとまるということの中には、チーム全体の“雰囲気”“ムード”が盛り上がることと共に、もう一つ、チームの中に一人一人にあった役割があり、それをみんなが自覚し、実行することができた時、まとまったと言えると思う。
 チームプレーやチームゲームについて語るときに、よく「信頼関係」という言葉が出てくる。サッカーのような集団スポーツでは、そのチームのみんながお互いに協力し合って個々の力を「まとめる」必要がある。その「まとまり」のポイントになるのが同じチーム員同士の「信頼関係」なのだ。信頼関係を築くためには、普段から行動を共にし、仲良くなることがいちばん大切だと考えがちで、同じ釜の飯を食えば親近感が生まれ、仲よくなれるだろう、そう思ってしまう。しかし、仲よくすることと信頼関係を築くことは少し違うように思う。サッ
カーのような集団スポーツでは、ただ仲がよければよいというわけにはいかない。“彼は何ができるか”“彼はこんなプレーをしてくれる”、チームが求めている役割を確実にやってくれるか、あるいはやろうとしているか否かで、信頼関係が成立したり、しなかったりするのだ。世界のプロフェッショナルの信頼関係はまさに“彼は何ができるか”で決まってくる。
 パスを渡してもすぐ敵にとられてしまったり、絶好の得点チャンスにシュートをはずしてばかりいる選手は、いくらいい人間でも、サッカーのグランドの中では信頼されない。FWならFW、DFならDFの、自分のポジションの役割をしっかり果たさなければならない。また、果たす力がなければならない。
 だが、そうはいっても、サッカーが好きで、サッカーをやりたいと思っている発展途上の子供たちに、指導者としては、「できる」と「できない」と区別するのではなく、できない事をどれくらいやろうとしているかで評価することも大切だと思いたい。また、そういう子供たちにチャレンジ精神がいかに大切かを教えたり、刺激したりするようにしなければいけないとも思う。
 コーチとして、「僕はチームのために○○ができる。」という役割を自覚させ、持たせることと共に、「あいつは今できないけれど一生懸命やっている。そのところをしっかり認め一緒にがんばろう。」そういう気持ちを芽生えさせるようにしたいと思っているのです。